大判例

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甲府地方裁判所 昭和26年(ワ)269号 判決

原告 甲府市里垣小学校敷地拡張委員会

被告 岩間茂春

一、主  文

原告の本訴を却下する。

訴訟費用は白倉真積の負担とする。

二、事  実

原告訴訟代理人は「被告は原告に対し別紙目録<省略>記載の土地を引渡し且つ右土地につき所有権移転登記手続をなすべし。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決並びに土地引渡部分につき仮執行の宣言を求めその請求の原因として――、別紙目録記載の土地はもと被告の所有であつたが被告において昭和二十三年十月十日甲府営林署に対しその庁舎建設敷地として売渡し昭和二十四年八月末日その引渡を完了した。右営林署はその後都合により庁舎を他の土地に建設する運びとなりさし当つて右買受土地を使用する目的を失つたところ偶々学童激増のため校舎敷地を拡張する必要に迫られていた甲府市里垣小学校から譲渡方の懇請を受けたので前所有者たる被告に買戻す意思も能力もないことを確めたうえ昭和二十五年九月十五日原告に対し右土地を売渡した。ところが被告は復た何時の間にか右土地に立入り原告に対抗し得るなんらの権原もないのにこれを占有しているのみでなく原告の請求に拘らずいまだに所有権移転登記手続もしないから原告はここに右土地引渡及び登記手続を求めるため本訴に及んだ。――と述べ、なお原告は民法上の組合に準じて設立された法人にあらざる社団で代表者の定があるものであるから民事訴訟法第四十六条により当事者能力を有すると附陳した。<立証省略>

被告訴訟代理人は本案前の答弁として主文第一項同旨の判決を求めその理由として――原告は当事者たる能力を有しないから本訴は不適法で却下すべきである。――と述べ、本案につき請求棄却の判決を求め答弁として――、原告主張の土地がもと被告の所有であつたこと、被告が原告主張日時甲府営林署に対しその庁舎建設敷地として右土地を売渡したことは認める。営林署がその後右土地を使用する目的を失つたこと、甲府市里垣小学校が校舎敷地拡張の必要上営林署に右土地の譲渡方を懇請したことは知らない。その余の原告主張事実は全部否認する。――と述べた。<立証省略>

三、理  由

先ず本案前の抗弁について審究するのに原告代表者尋問の結果により真正に成立したと認める甲第一及び第四号証、同第一号証の印影との対照上真正に成立したと認める同第二号証、証人中山敏章、志村伝吉及び小沢興丈の各証言(但し後記措信しない部分を除く。)並びに原告代表者尋問の結果を総合すれば本件里垣小学校敷地拡張委員会(原告)は昭和二十五年二月十日同校敷地の拡張及び校舎の増改築完成を期し甲府市の教育施策に協力することを目的とする教育施設組合を結成するために開催された甲府市里垣小学校地区々民大会において右趣旨に賛成する一部住民から選出された代表者十五名(右大会議長の指名でPTA代表、教育後援会代表、婦人会代表の外同地区選出の市議会議員、農地委員並びに甲府市職員が選出された。)を以て組織し一面においては前記施設組合の設立を促進し(従つて早晩その設立の暁にはこれに合体することを予定しながら)他面においては右組合と同一の事業を行うことを目的としたものであつて白倉真積がその規約に従い互選の結果委員長に就任したこと、そしてその所要経費は規約によると同地区々民全体の負担たるべき定であつたが実際には前記区民大会の結果前記施設組合に対する出資として一口金三百円(但し後日金百五十円に減額され既納者に対しては過納分の返戻が行われた。)の募集が行われただけで原告委員会としてはなんらこれに類する醵金を求めなかつたので教育後援会の費用から一時支弁を受けることを余儀なくされたこと、しかるに原告委員会は既にその名において甲府市から資金の借入を行いこれにより校舎敷地予定地の換地の買収に着手したこと、従つて彼此推すときは原告委員会は右借入金の償還能力を有せず前記寄附金を有する施設組合に合体しその引受を俟つ外ないことを窺知するに十分であつて右認定に反する証人中山敏章、志村伝吉及び小沢興丈の供述部分は当裁判所の心証を左右し難くその他右認定を覆すに足る証拠はない。してみると原告委員会は学校施設の拡充を目的とする事業を行うけれどもこれと同時に同一の事業を目的とする教育施設組合の設立を推進しその設立によつて発展的解散をなすべき運命を荷つた暫定的組織であつて本来固有の財産を有しないものであると認むべきであるが、一体民事訴訟法第四十六条にいわゆる法人にあらざる社団で代表者の定があるものとはその事業の性質が永続的であつて団体構成員の加入脱退により団体の存立に影響を受けず、且つ団体固有の財産を有してこれが団体の組織活動の基礎をなす程度に独立した社会的実体を具有する社団でなければならないと解するから右のような実体をすべて兼ね具えたと認めることのできない原告委員会の如きは民事訴訟法上当事者たる能力を有しないものというべきである。

従つて原告の本訴請求は本案の当否を判断するまでもなく既にこの点において不適法として却下を免れないのである。

よつて訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九十九条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 駒田駿太郎)

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